再現

蒐集した古渡更紗などの紋様などを研究し、本歌そのもののもつ美しさを引き出し再現します

格天井更紗
この更紗の本歌(ほんか)は明治の元勲・伊藤博文公が所持していた帛紗で、年代も生産地も不明ですが、博文公の審美眼に驚かされます。入手したときの嬉しかった思い出は今も忘れません。いつの日かこの更紗を模してみたいと思っておりましたので、布を選び版を重ねて制作いたしました。博文公が愛しんだこの更紗の美は時を過ぎるほどに共鳴してくるでしょう。

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笹蔓手金更紗
この更紗は古渡印度更紗(こわたりいんどさらさ)の中でも構図に非の打ち所もないほどの端正さと高貴な趣があり、それが好まれて古くから各時代にわたって渡来してきています。
古渡更紗についての古文献「佐羅紗便覧」「増補華布便覧」「更紗圖譜」の全てに図と配色が載っています。
所蔵品の中で最も古い渡来の笹蔓手金更紗を模して制作しましたが、純金は用いておりませんしかし、古渡り金更紗の調子は再現できたと思っております。
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ウンヤ手格天井更紗
日本で「古渡り(こわたり)」と呼んで賞玩されている更紗は、ヨーロッパの大航海時代の開けと共に運ばれてきた17世紀初頭から18世紀半ば頃までのインド更紗をさしている。その中でも「ウンヤ手」と称される繊細な藍の線や地模様を染め出した作例には、17世紀前半の古様な優品が多い。
このウンヤ手は、旧彦根藩井伊家伝来の更紗コレクション(現・東京国立博物館所蔵) 中の一点を写したもので、本歌より若干拡大し格子内の円文に細やかで精巧な 唐草風の地模様を丹念に再現し、またインド更紗に特徴的な深い茜と藍の色調を 忠実に表現することによって、古渡り更紗の雰囲気を伝える魅力ある作品に 仕上げられている。
東京国立博物館 客員研究員 小笠原小枝
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段更紗
この段更紗は古渡更紗の古文献である「増補華布便覧」「更紗図譜」にも近似した構図のものが紹介されています。古文献記載の図版の物には「惣カキワリスミ、花一ツハ赤、一ツハ紫、ツル葉ハ草ノ汁、ダンノスジノ星赤」と図版の横に書き添えられていて、蔓花文の間の文様が花柄ではなく、山形の文様が連続しています。 最近入手した春陽軒の売買目録(昭和11年)にも「萌葱地立枠鶏頭更紗帛紗」として載っています。その本歌の雰囲気に出来るだけ近づける為に、版を重ねて再現する事が出来ました。
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扇手更紗
この扇手更紗は東京国立博物館所蔵のもと彦根藩井伊家旧蔵の「彦根更紗」と呼ばれてきたコレクションの中に同模様のものが四点あります、その中の二点が黒地であり小生所蔵の更紗はボーダーの部分が含まれている稀品なので少し縮小して再現しました、この更紗は扇面を三枚組み合わせて丸紋にしています、四百年も前にデザインされ制作されたと思えないほど斬新なアイデアによって今も猶親しまれている構図の更紗ですが、インド製を物語ってくれている部分があるのです、扇面の骨の部分が、日本人が描いたのなら当然要の部分に集まる筈の線が平行線で描かれています、扇面を知らないインドでは扇面としてよりも一つの柄として制作された事が微笑ましく感じられるのです、この本歌の雰囲気をできるだけお伝えしたい為に版を重ね再現致しました。
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鶏頭手金更紗
「鶏頭手」と言う名称が付けられているのは、この図案がインドの草花文様であり、文様が鶏頭の花に似た文様のものがあるので、それを取り上げて古人が名付けたので、実際には色々の花が混在して五の目に並んで染められているものが多く、「増補華布便覧」「更紗図譜」などにも記載されています。こうした構図のものは、必ずしも写実的に見て名付けられた名称ではないようなのです。この金更紗は自蔵のサラサなのですが、ヨーロッパ向けに制作されたものだと思います。この金更紗は縮小して制作したものなのです。純金は用いておりませんしかし、古渡り金更紗の調子は再現できたと思っております。
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